『涼宮ハルヒの消失』

  • 2007/07/09(月) 00:58:41

一昨日の朝、第3作目『涼宮ハルヒの消失』を読み始めて、昨日読み終わりました。

シリーズ前作品とは比べ物にならない程夢中になってしまいました。

涼宮ハルヒの消失 涼宮ハルヒの消失
谷川 流 (2004/07)
角川書店

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私の読書タイムは通勤中の電車内往復2時間なのですが、
運悪くクライマックスでの勤務地到着による中断となり、昨日1日仕事は上の空でした。
帰りの電車で読み終わり、

もう真剣に胸が痛かったです。

そんなこんなで今日は『涼宮ハルヒの消失』の感想です。

*致命的なネタバレはしないつもりですが、そこそこストーリー説明はします。
 あと、だいたい古泉くんの話になると思います。
 

消失』は、簡単に言ってしまえばキョンがパラレルワールドに行ってしまう話です。
ある朝キョンがいた世界、それはSOS団もなければ涼宮ハルヒもいない世界。

朝比奈みくるは未来人ではなく、高嶺の花の美人上級生。
長門有希は宇宙人ではなく、臆病で内向的な文芸部員。
北高から存在ごと消えていた涼宮ハルヒと古泉一樹は、
同じ学区内の有名進学校に通う、ちょっと変わった女子高生と普通の転校生だった。

キョンは元の世界に戻るべく、元の世界の有希が
自分に当てて残してくれたメッセージを頼りに奮闘する…という話です。

キョンは相変わらず、ロクな目に遭っていないし、
一人孤独に闘い続ける有希も哀しい存在ではあるんです。

だけどこの『消失』を読んで確信しました。

一番可哀想なのは、間違いなく古泉くんだよ!

そもそも基本設定からしてそうですよね。

みくるちゃん(古泉くんのついでに敬称付きに)は、未来からハルヒの監視係として来た。
つまり彼女は、最初から「仕事」の一環として
ハルヒの起こす騒動に身を投じているわけです。

有希もやはり、ハルヒの活動報告のために作られた存在です。
活動報告こそが有希の存在意義であり、ハルヒの傍にいてこそ
そのアイデンティティが確立されるのです。

しかし、古泉一樹は違います。
彼はどうやら、3年前までは普通の人間として暮らしていたようです。
それがハルヒの「覚醒」と同時に自らの能力に目覚め、
ハルヒが閉鎖空間を発生させる度に出動し、世界の崩壊を止めるべく戦うことが使命となります。
さらに高校生になってからは「機関」によってハルヒの元へ送り込まれ、
日々彼女の機嫌を取り、退屈を紛らわせるために東奔西走しています。

…可哀想…。ハルヒがいなきゃ、彼はただの人だったのに。
しかも、そこまでしなきゃいけない義務を負わされた理由が

「たまたまだった」というのが、何よりヒドイです。

これだけのことをさせられるなら、せめて「その役が自分でなければいけない理由」が
欲しいのが人情だと思うんですよ。

でも、ハルヒが「その人そのもの」の存在意義を認め必要としたのはキョンでした。
古泉一樹に求められたのは、「容姿端麗」「季節はずれの転校生」「超能力者」という
彼女の気を引きそうなステイタスのみ。

古泉くんはシンジくん程度に
自らの存在理由について
苦悩してもいいと私は思います。


実際彼自身「最初はパニックでしたよ。怖い思いもずいぶんしましたしね。
すぐに『機関』からお迎えが来て救われましたが、
あのままでは自分の頭がおかしくなったと思って自殺してたかもしれません」
と、当時を回想しています。

それを、「たぶん誰でもよかったんでしょう。たまたま僕に矢が刺さっただけなんですよ」
淡々と言ってのけるまでには、どれほどの葛藤があったことでしょうか。

で、やっと『消失』の古泉くんの話なんですけど。

パラレルワールドでの彼は、やはり転校生。
しかし超能力はなく、ハルヒに好意を抱くクラスメイトです。
しかしハルヒは「転校生」という古泉の属性にのみ興味を持っているため、
「最近飽きられつつあるようです」とのことで、
現在は主にハルヒのサイフ係をしているのです。

オイ!ちょっと切なすぎるよパラレル古泉!

細かい経緯は色々あるのですが、最終的にキョンは元の世界かパラレルワールドか、
どちらかを選ばなければならなくなります。
キョンは当然、元の世界を選ぶのですが(これはネタバレに入りませんよね)、
他の人物たちにとっても元の世界の方が良かったかというと
一概には言えない気がするのです。

みくるちゃんはハルヒのおもちゃにされるより、
おとなしく書道部にいたほうがいい気がします。
有希も統合思念体の手先やってるより、
キョンにほのかな想いを寄せる控え目な文芸部員の方が幸せに見えます。

そして、古泉くんに関して言えば
どっちの世界でも同じくらい可哀想です。

たまたま選ばれ、命賭けで戦いつつ女子高生のお守りをするか、

片思いの女の子に「転校生キャラのミツグ君(古)」

扱いされるかの二択って。

本編ストーリーは非常に面白かったのです。
有希の、常人離れした能力だけでない人間らしい一面が見られました。
そうだよ有希ちゃん、そんくらいしてもいいよ。アンタ頑張ってるよ。
キョンの、測り知れない器の広さは、今回もその幅を広げっぱなしでした。
アンタ…いい男だねホント…。そんな感じで、今まで以上に彼らが好きになりました。

しかし、やたら惨めな古泉くんを見ているのが何よりツラかったです

アニメ第二期ではこの『消失』を中心にやるという噂が出ているようです。
このストーリー、是非アニメでやっていただきたいと思います。
しかし古泉くんに関してだけは、なんとか出番的にも、役回り的にも
救済処置がないものかと思ってしまいました。
あの役回りも理由あってのものだってことはわかるけど…わかるけど!

とりあえずハルヒ

古泉くんに飽きたんなら 私 に く れ !

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